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老犬が震える原因は?症状別に見る原因と動物病院受診の目安


シニア犬が震える様子を見て、「寒いのかな?」「どこか具合が悪いのだろうか?」と心配になった経験はありませんか?

震えの原因は、寒さや筋力低下など生理的な反応である場合もあれば、病気や痛み、精神的なストレスが関係している場合もあります

この記事では、老犬の震えの原因と対処法、病院に相談すべきタイミングについて詳しく解説します。正しい知識を持つことで、愛犬の健康を守り、快適な暮らしをサポートしましょう。

目次

老犬の震えの主な原因

老犬が震える主な原因は、大きく分けて以下の3つが考えられます。

  • 生理的な震え
  • 精神的な震え
  • 病的な震え

生理的な震え

体の自然な反応として震えが現れる場合があります。生理的な震えは、主に以下の原因によって生じることが多いです。

  • 寒さ
  • 筋力の低下
  • 疲労や衰弱

寒さ

寒さを感じると体を温めるために震えが起こります。これは寒さから体を守るための自然な反応です。体温が低下すると脳から筋肉に指令が行き、全身の筋肉が小刻みに震えます。筋肉を動かすことで熱をつくり、体温を維持しようとします。

老犬は若い犬に比べて体温調整の機能が弱くなっており、寒さを感じやすいといわれています。
部屋の室温を20~25℃に保つ、毛布や犬用ベッドを用意するなど、寒さを防ぐ工夫をしましょう。散歩時に防寒着を着るのもおすすめです。

犬は人間よりも低い位置にいるため、人間は適温でも、犬がいる位置は寒い場合があります。下からの冷えや、すきま風を感じやすいので注意しましょう。

筋力の低下

老犬は加齢に伴い筋肉量が減少し、体の安定性が低下します。その結果、踏ん張りがきかず、震えが出やすくなることがあります。特に排便時や食事中など、踏ん張る必要がある場面で見られることが多いです。

滑りにくいマットやカーペットを敷き、安心して歩ける環境を整えましょう。軽い運動を習慣づけ、体力を維持することも大切です。関節に負担をかけないよう注意しながら行いましょう

疲労

老犬は若いころに比べ、体力の回復が遅くなります。散歩や活動量が多すぎると、筋肉が疲労し、震えが生じることがあります。 散歩の時間を見直す、途中で休憩をとるなど、愛犬の体調に合わせた工夫をしましょう。

精神的な震え

精神的な震えの主な原因は以下です。

  • 不安・恐怖・ストレス
  • 警戒心や興奮

不安・恐怖・ストレス

犬は不安や恐怖、ストレスを感じて震えることがあります。たとえば、環境の変化や大きな音(雷や花火など)、知らない人や犬と対面した時です。

震えの原因を取り除き、愛犬が安心できる空間を作りましょう。雷など原因が取り除けない場合は、飼い主が寄り添ったり、クレートなど愛犬が落ち着ける場所を用意して不安を和らげましょう。

老犬は若い犬に比べてストレスを感じやすい傾向があります視覚・聴覚など感覚機能の衰えやから不安を感じたり、若い頃のように体を動かせないことにストレスを感じます。これまで平気だったことにも不安やストレスを感じる場合があるので注意が必要です。

警戒心や興奮

他の犬とすれ違ったときや、飼い主が久しぶりに帰宅した際など、感情が高ぶると震えることがあります。

興奮した犬を落ち着かせるのは難しいです。愛犬を落ち着かせるためにも飼い主さんは冷静に対応しましょう。視界を遮る、刺激から遠ざけるなどして興奮要因を取り除きます。「オスワリ」や「フセ」を指示し、落ち着きを促す方法もあります。

病的な震え

病気が原因となる震えは特に注意が必要です。震えが継続的に続く、特定の状況で悪化する、他の症状(食欲低下、ふらつき、呼吸異常など)を伴う場合、病的な震えの可能性があります。病的な震えの主な原因は以下です。

  • 痛みや関節疾患
  • 神経系の異常
  • 内臓疾患や代謝異常
  • 中毒

痛みや関節疾患による震え

関節炎やヘルニアなどの痛みが原因で震えが起こることがあります痛みを抱えている場合は、震え以外にも歩き方や食欲などに変化が見られることがあります。腹部が痛い場合には体を丸めて震えたり、抱きかかえるのを嫌がる様子がみられることもあります。

関節炎・変形性関節症
高齢犬に多く、関節の炎症や軟骨のすり減りによって痛みを感じ、震えが発生します。
椎間板ヘルニア
神経が圧迫されることで痛みやしびれが生じ、震えることがあります。

特徴的な症状

  • 立ち上がるのを嫌がる
  • 動きがぎこちない、歩きたがらない
  • 震えとともに鳴き声を上げる

神経系の異常による震え

脳や神経の病気が原因で、異常な震えやけいれんを起こることがあります。歩行障害や意識障害などの症状がみられる場合もあります。けいれんや意識障害が起きた場合はすぐに病院へ連れて行きましょう。

脳疾患(脳腫瘍・脳梗塞・水頭症)
脳の異常により震えやけいれん発作が発生することがあります。
てんかん発作
何らかの原因で脳に異常な興奮が起こることで、けいれんや意識障害などの発作が起こります。犬では脳波や脳に異常が認められない「特発性てんかん」が多くみられます。

特徴的な症状

  • 頭部や四肢の震えが止まらない
  • ぼんやりしている、方向感覚が鈍る
  • ふらつきや旋回行動が見られる

内臓疾患や代謝異常による震え

内臓の機能が低下すると、体内のバランスが崩れ震えが生じることがあります。

低血糖(糖尿病・インスリノーマ)
血糖値の低下により震えや脱力が見られます。
甲状腺機能低下症
ホルモンバランスの乱れにより震えが発生します。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
筋力低下や代謝異常が震えの原因になります。

特徴的な症状

  • 震えとともに異常な多飲多尿がある
  • 体重の減少または増加
  • 皮膚が薄くなり毛が抜ける

中毒による震え

老犬は代謝機能が低下しているため、薬物や食べ物の中毒症状が出やすくなります中毒症状を起こすと急激な震えや、けいれんが見られます。早急な処置が必要なので、症状がみられた場合はすぐに動物病院へ連れて行きましょう

チョコレート・キシリトール・タマネギ中毒
個体差がありますが、少量の摂取でも中毒を引き起こし命にかかわることもあります。上記食材以外にも中毒を起こすものは数多く存在するため注意しましょう。
殺虫剤・除草剤・薬の副作用
殺虫剤に含まれる有機リン酸塩やカルバミン酸塩(カルバメート)、カタツムリ駆除剤に含まれるメタアルデヒド、自動車の不凍液に含まれるエチレングリコールなどは摂取すると中毒を起こします。

特徴的な症状

  • 突然の強い震えや、けいれん
  • 嘔吐や下痢を伴う
  • 意識がもうろうとする

受診が必要なケースと検査方法

以下の場合は病気が原因で震えている可能性があるため、動物病院を受診しましょう。

  • 何度も繰り返し震えを起こす
  • 震えが止まらない、またはけいれんを伴う
  • 嘔吐、下痢、食欲不振などが見られる
  • 痛みで歩行が困難になっている

他にも元気がない、呼吸が荒いなど、普段と違う様子が見られる場合は獣医師に相談しましょう。てんかん発作の予兆であったり、大きな病気が震えを引き起こしている可能性もあります。

受診時の準備

震えの症状で動物病院を受診する際には、以下の準備をしておくとよいでしょう。震えている様子を動画で撮影しておくと獣医師の診断に役立ちます。

  • 症状の記録
    • 震えの開始時期、頻度、持続時間
    • 震えが起こる状況(寒い時、興奮時など)
  • 愛犬の基本情報
    • 年齢、品種、体重、性別などの基本情報
    • 既往歴、予防接種歴、アレルギー歴など
  • 現在の健康状態
    • 食欲、排泄、活動量などの日常的な様子
    • 震え以外の気になる症状
  • 服用中の薬やサプリメント
    • 現在服用している薬やサプリメントの名前、用量、服用スケジュール

検査によって震えの原因が特定されれば、原因に応じた治療計画が立てられます。原因が不明の場合でも、症状緩和のための治療が行われることがあります。

検査内容

老犬が震える原因を特定するために、以下の検査が行われます。検査内容は症状や疑われる疾患に応じて変わります。

身体検査血液検査

震えの原因を広く探るために行われます。

  • 身体検査
    • 体温、心拍数、呼吸数などの基本的な健康状態を確認します。
    • 痛みや外傷の有無を確認します。
  • 血液検査
    • 血糖値:低血糖が震えを引き起こすことがあります。
    • 電解質バランス:低カルシウム血症や高カリウム血症などが原因となることがあります。
    • 肝臓・腎臓機能:内臓疾患による代謝異常を確認します。

神経学的検査

神経系の異常が疑われる場合に行われます。

  • 反射検査
    • 四肢や顔面の反射を調べ、神経系のどの部分に問題があるかを特定します。
  • 脳脊髄液検査
    • 脳炎や感染症の有無を確認します。

画像診断

震えが脳や神経系の疾患によるものと疑われる場合や、骨や関節、内臓疾患によるものが疑われる場合に実施されます。

  • レントゲン検査
    • 骨や関節、内臓の異常を確認します。
  • 超音波検査(エコー検査)
    • 臓器の状態を評価します。
  • MRI・CTスキャン
    • 脳や脊髄の詳細な画像を取得し、腫瘍や炎症、梗塞などを特定します。

専門的な検査

ホルモンの病気(内分泌疾患)や中毒など、特定の疾患が疑われる場合に行われます。

  • ホルモン検査
    • クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)や甲状腺機能低下症などホルモン異常を調べます。
  • 毒物スクリーニング
    • 中毒性物質(殺虫剤、有毒植物など)の摂取が疑われる場合に行います。

老犬の震えを予防する方法

老犬の震えへの対処法には以下があります。

  • 温度管理
  • 環境を整え、負担やストレスを軽減する
  • 筋力維持のため、老犬の体力に合わせた運動を行う
  • 定期健康診断を受け、病気を早期発見する

温度管理

毛布や犬用ベッドなどで、寒さを防ぐ工夫をしましょう。犬は人間よりも低い位置にいるため、間は適温でも、犬がいる位置は寒い場合があります。こまめに愛犬の様子を確認し、温度を調節してあげてください。

環境を整え、負担やストレスを軽減する

愛犬が安心して過ごせる、ストレスの少ない環境づくりを心がけてください。大きな音や恐怖を感じる状況を避け、落ち着いた環境を整えましょう。家具の配置を見直して移動しやすくしたり、滑りにくい床材を敷くと足元の負担を軽減できます。

飼い主が優しく声をかけたり、触れ合う時間を増やして安心感を与えることも大切です。

筋力維持のため、老犬の体力に合わせた運動を行う

筋力の衰えを防ぐため、体力に合わせた散歩やリハビリを行いましょう。運動時は関節への負担にも注意が必要です歩きやすい道を選び、ワンちゃんのペースに合わせましょう負担をかけない範囲で続けることが大切です

運動前後のマッサージもおすすめです。マッサージをすることで、血行を改善して体を温めたり、痛みを和らげる効果が期待できます体に触れることで異常の早期発見につながることもあります。ただし、関節炎が進行している場合は悪化させる可能性もあるため、獣医師に確認してから行いましょう。

定期健康診断を受け、病気を早期発見する

震えが病気のサインである場合もあります。病気を早期発見し治療につなげるため、年1~2回は動物病院で健診を受けましょう。検査や関節のチェックを受けることで隠れた病気を見つけることができます。食欲の低下や元気の喪失など、ほかの症状がみられる場合には、早めに診察を受けるようにしましょう。

まとめ

老犬の震えには、生理的な原因、精神的な原因、病的な原因の3つが考えられます。寒さや筋力の低下による自然な震えもあれば、不安やストレス、病気によるものもあります。特に、持続的な震えや他の症状を伴う場合は、病気の可能性があるため動物病院の受診が必要です

病院では、身体検査や血液検査、画像診断、神経学的検査などを行い、震えの原因を特定します。早期に対処することで、病気の進行を防ぎ、愛犬の生活の質を向上させることができます。

震えを予防するためには適切な温度管理、ストレスを軽減する環境作り、筋力維持のための運動、定期的な健康診断が重要です。愛犬の状態に合わせた適切なケアを行い、快適に過ごせるようサポートしていきましょう。

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