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老犬が水をよく飲む原因と考えられる病気を徹底解説|健康チェックのポイントとは

老犬の健康は飼い主にとって大きな関心事です。特に老犬の場合、小さな変化も見逃せません。水をよく飲むようになった老犬を見て、不安を感じている飼い主は多くいます。この記事では、老犬が水をよく飲む原因や考えられる病気、対処法について詳しく解説します。

記事を読めば、老犬の状態を適切に判断し、必要な場合は獣医への受診を検討することが可能です。老犬が水をよく飲む原因はさまざまですが、深刻な病気が隠れている場合もあります。飲水量を測り、普段の2倍以上になっている場合は獣医への相談を検討しましょう。適切な対応で老犬の健康を守れます。

目次

老犬が水をよく飲む原因

老犬の飲水量の増加は健康上の問題を示している可能性があるため、注意が必要です。老犬が水をよく飲む原因は以下のとおりです。

  • 食事による影響
  • 薬の副作用
  • ストレスや環境の変化
  • 脱水症状

食事による影響

食事の塩分量が多い場合、犬は喉が渇きやすくなり、水をたくさん飲みたがります。塩分の過剰摂取は体内の水分バランスを崩し、脱水症状を引き起こす可能性があります。老犬の体は若い頃ほど塩分を処理できないため、特に注意が必要です。

また、ウェットフードからドライフードへの切り替えた場合、食事から摂取できる水分量が減り、飲水量が増えることがあります。ウェットフードとドライフードの水分含有量は以下の違いがあります。

フードの水分含有量

  • ウェットフード:75%程度
  • ドライフード :10%程度以下

参考:一般社団法人ペットフード協会

食事内容や量の急激な変化は消化器系に影響を与え、一時的に水を多く飲む原因になることもあります。新しいフードに切り替える際は、少しずつ混ぜながら慣らすことが大切です

人間の食べ物を与えすぎると栄養バランスが崩れ、水分摂取量にも影響を与える可能性があります。老犬には、専用のフードを中心としたバランスのとれた食事を意識し、健康を維持できるよう配慮しましょう。

薬の副作用

薬の副作用により、老犬の体内の水分バランスが崩れる可能性があります。水を飲む量を増やす可能性がある薬は以下のとおりです。

  • 利尿作用のある薬(ステロイド、利尿剤など)
  • 抗てんかん薬
  • 甲状腺機能低下症の治療薬
  • 抗うつ薬
  • 心臓病の薬(ACE阻害剤など)

ステロイドや利尿剤は、体内の水分を排出しやすくしたり、喉の渇きを感じやすくしたりする作用があります。老犬が普段より水を飲む量が増えたと感じたら、現在服用している薬との関連性を疑ってください。薬の副作用だけでなく、他の原因も考えられます。気になる症状が続く場合は獣医師に相談しましょう。薬の種類や量を調整し、必要な場合は別の治療法も提案してくれます。

ストレスや環境の変化

老犬は、ストレスや環境の変化が原因で、水をよく飲むようになる場合があります。老犬のストレスになる可能性がある環境変化は以下のとおりです。

  • 引っ越し
  • 家族構成の変化
  • 季節の変わり目
  • 新しいペットの迎え入れ
  • 散歩時間の変更
  • 飼い主の長期不在

環境変化によるストレスを感じると、老犬は落ち着きをなくし、不安になり、水を多く飲むようになる場合もあります。老犬のストレスを軽減するためには、環境の変化を最小限に抑えることが大切です。避けられない変化の場合は、老犬に寄り添い、安心感を与えることが重要になります。

また、高齢になると視力や聴力が衰え、これまで平気だったことにも不安やストレスを感じる場合もあります。愛犬が安心して過ごせるよう、住環境の工夫や優しく声をかけるなどの配慮を心がけましょう。

脱水症状

老犬の脱水症状は、さまざまな症状を引き起こすため、早期発見が大切です。軽度の脱水でも放置すると重症化することがあります。皮膚のハリがなくなり、口の中が渇いていることも脱水のサインです。いつもより目がくぼんで見える場合や、元気がない、食欲がないといった様子にも注意が必要です。

重症化すると、呼吸が速くなったり、心拍数が上昇したりする場合があります。体温が上がる場合も考えられます。歩行が困難になったり、めまいや失神を起こしたりする可能性もあるため注意が必要です。

重度の場合は、ショック状態に陥る可能性もあります。重症になる前に、早めに対処することが大切です。

老犬が水をよく飲むときに考えられる病気

老犬が水をよく飲むようになった場合、いくつかの病気の可能性があります。代表的な病気は以下のとおりです。

  • 糖尿病
  • 慢性腎臓病
  • クッシング症候群
  • 子宮蓄膿症
  • 肝臓病

糖尿病

糖尿病の原因は、インスリンの分泌不足または体の細胞がインスリンに反応しにくくなる状態(インスリン抵抗性)です。体内の血糖値が上昇し、高血糖による頻尿と多飲が主な症状として現れます。初期症状として食欲増加がみられます摂取した栄養を十分にエネルギーに変換できず、食べているのに体重が減少することが多いです。

糖尿病の発症リスクは、年齢や肥満と関係があるため、老犬や太りぎみの犬は特に注意が必要です。早期発見と適切な治療が重要なので、症状に気づいたらすぐに獣医師に相談しましょう。治療法は、インスリン注射や食事管理、定期的な血糖値の確認などです。

慢性腎臓病

慢性腎臓病は、腎臓の機能が徐々に低下し、体内の老廃物を十分に排出できなくなる病気です。進行性で完治は難しいですが、適切な管理を行えば進行を遅らせられます。慢性腎臓病の主な症状は多飲多尿です。食欲不振や体重減少、嘔吐などの症状も現れる場合があります。

早期発見が重要なので、定期的に健康診断を受けましょう。血液検査でクレアチニンやBUNの値が上昇したり、尿検査で尿比重が低下したりすると、慢性腎臓病の可能性があります。

治療の中心になるのは食事療法です。低タンパク、低リンの食事が必要ですが、水分摂取を制限せず、新鮮な水を常に用意することが大切です。病気の進行度によっては、点滴や薬物療法が必要になる場合もあります。ストレスを避け、快適な環境を整えることも重要です。

クッシング症候群

クッシング症候群は、体内のコルチゾールというホルモンが多くなりすぎる症状のことです。別名「副腎皮質機能亢進症(ふくじんひしつきのうこうしんしょう)」といいます。主な症状を以下に示します。

  • たくさん水を飲む
  • 尿の量が増える
  • 食欲が旺盛になる
  • 毛が抜けやすくなる
  • 皮膚が薄くなる

8歳以上の老犬に多く見られる病気で、プードルやダックスフンドなどの小型犬に多い傾向です。腫瘍が原因で起こる症状と、腫瘍が原因ではない症状の2種類があります。診断として、血液検査や尿検査、ホルモン検査などが行われます。手術や薬による治療法があるため、早めに発見して治療を始めることが大切です。

適切な治療を行うと、症状を和らげ、老犬のQOL(生活の質)を向上させられます。定期的に検査を受け、獣医師と相談しながら経過を見ていくことが重要です。

子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は、避妊手術を受けていない高齢の雌犬によく見られる病気です。子宮に膿が蓄積するのが特徴で、対処が遅れると命にかかわることもある危険な病気です。主な原因は細菌感染で、多飲多尿や食欲不振、嘔吐、元気消失などの症状が現れます。重症化すると敗血症や腹膜炎を引き起こす可能性があるため、早期発見が大切です。

子宮蓄膿症の治療法は、抗生物質の投与や外科的手術です。基本的には外科的手術が行われ、卵巣と子宮を摘出します。予防するためには、若いうちに避妊手術を受けることが効果的です。発症リスクは加齢とともに上昇するため、定期的な健康診断を受けることが大事です。

肝臓病

肝臓病とは、肝臓に何らかの障害が生じる病気の総称です。肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれるほど高い再生力を持っており、多少のダメージを受けても正常に機能します。そのため、病気が進行しても初期段階ではほとんど症状が現れず、異変に気づいたときにはすでに肝臓の機能が大きく低下していることも少なくありません。気になる症状が見られた場合は、早めに獣医師へ相談することが大切です。

主な症状は以下です。

  • 食欲不振
  • 元気がない
  • 嘔吐や下痢
  • 多飲多尿
  • 黄疸(白目や歯茎、皮膚の色が薄い部分などが黄色く変色する)

肝臓の機能が低下すると、体内の毒素を処理する能力が落ちるため、体内の老廃物が蓄積し、それを排出するために飲水量が増えることがありますアンモニアの処理能力が低下し、脳に悪影響を及ぼす肝性脳症を引き起こす可能性もあります。こうした深刻な状態を防ぐためにも、定期的な健康診断を受け、早期発見に努めることが重要です。

治療方法は、肝臓病の原因や症状に応じて異なります。投薬による肝機能のサポートや、特定の病気に対する外科的手術が必要になる場合もあります。また、肝臓に負担をかけないよう、食事療法によって栄養バランスを整えることも効果的です。老犬の健康を守るために、適切なケアを心がけましょう。

老犬が水をよく飲むときの対処法

老犬の過度な飲水には注意が必要です。対処法は以下のとおりです。

  • 飲水量を測る
  • 食事を見直す
  • 環境を整える

飲水量を測る

老犬の24時間の飲水量を測定しましょう。水を入れる前後の重さを量ると、正確な飲水量がわかります。複数日続けて記録をつけ、1日の平均飲水量を計算してください。体重1kgあたりの飲水量も算出すると、より詳細な情報を得られます。通常の2倍以上の飲水量が続く場合は要注意です。

犬が1日に必要な水分摂取量の目安は?

犬の1日の適切な飲水量は、体重1kgあたり約50~70mlが目安です。

体重5kgなら1日に250~350mlが目安になります。

ただし、季節や気温による変動も考慮する必要があります。ドライフードか水分の多いフードかによって、飲水量が変わる場合があるため、食事の種類も記録しましょう。飲水量の急激な変化には特に注意してください。飲水量と排尿量のバランスも確認すると、より正確な健康状態を把握できます。

食事を見直す

適切な食事は、老犬の健康を維持し、水分摂取量の適正化をサポートします。老犬に適した食事は以下のとおりです。

  • 高品質でバランスの取れた老犬用フード
  • 水分含有量の多い食事
  • 塩分の少ない食事
  • 消化しやすい食材や適度な食物繊維

食事を小分けにし、1日数回に分けて与えましょう。カロリー制限や低タンパク質食が必要な場合もあるため、獣医師に相談するのがおすすめです。手作り食を与える際は、栄養バランスに十分注意を払う必要があります。

栄養バランスが偏った食事は、かえって健康を害する可能性があるため気をつけましょう。

環境を整える

老犬が快適に過ごせる環境を整えると、飲水量の安定に役立ちます。老犬は体温調節が難しくなるため、快適な温度と湿度を維持してください。清潔な水を常に用意することも重要です。必要であれば水飲み場は複数箇所に設置し、いつでも飲めるようにしましょう。転倒を防ぐために、滑りにくい床材を選びます。

静かでストレスの少ない環境も大切です。快適な寝床を用意し、ゆっくり休めるようにしてください。定期的な散歩や軽い運動を行うことで、体のリズムを整え、ストレスを軽減できます。日光浴ができる場所を確保し、ビタミンDの生成を促し、健康維持に役立てましょう。日光を浴びることで、気分転換やリラックス効果も期待できます。アロマセラピーなどでリラックスできる空間づくりも効果的です

他のペットとの過度な競争は避け、老犬がストレスなく過ごせる環境を整えることが重要です。

老犬が水をよく飲むときに受診すべきかの判断基準

老犬の飲水量が増加した場合、受診すべきかを判断する必要があります。受診が必要な症状の例と、様子を見て良い例について解説します。

受診が必要な症状の例

老犬の健康状態に大きな変化が見られたら、すぐに獣医師に相談しましょう。早めの受診が必要な症状は以下のとおりです。

  • 急激な飲水量の増加
  • 頻繁な排尿や失禁
  • 食欲不振や体重減少
  • 嘔吐や下痢
  • 元気のなさ・活動量の低下
  • 毛並みの悪化
  • 目やにの増加・目の濁り
  • 呼吸の荒さ・咳の増加

歩き方がぎこちなくなったり、足元がふらついたりする場合も、病気が隠れているかもしれません。いつもと比べて異常に喉が渇く様子が見られる場合も、注意深く観察してください。皮膚の乾燥やかゆみ、口臭の悪化、体温の変化などの症状も見逃さないようにしましょう。異常な体の腫れにも注意してください。

老犬の様子をよく観察し、普段と違う点があれば記録しておきましょう。症状が続く場合は、獣医師への相談が必要です。早めに対処することで老犬の生活の質を維持できます。注意深く見守るようにしましょう。

様子を見て良い例

老犬の飲水量が増加しても、すぐに病気を疑う必要はない場合があります。飲水量の増加が一時的で、他の症状がない場合は心配ありません。環境の変化や暑さなど、原因が明確で一過性と思われる場合も同様です。食事内容の変更直後で、他に異常がない場合もしばらく様子を見てもよいでしょう。

軽度のストレスが原因と考えられ、他の症状がない場合も、すぐに病気を疑う必要はありません。飲水量の増加が緩やかで、全体的な健康状態に変化がない場合も様子を見てください。ただし、飲水量の変化が続く場合や、他の症状が現れた場合は獣医師に相談しましょう。

水をよく飲む老犬に対する獣医師の検査・治療

水をよく飲むようになった老犬に対しては、獣医師による検査と治療を総合的に行うことが重要です。治療と検査の内容は以下のとおりです。

  • 血液検査
  • 尿検査
  • 超音波検査
  • 内服薬
  • 食事療法

血液検査

血液検査では、さまざまな項目を確認して、病気の早期発見や治療方針の決定に役立てます。調べる項目は以下のとおりです。

  • 電解質のバランス
  • 腎臓機能を示す値
  • 肝機能を示す酵素の数値
  • 血糖値
  • 甲状腺ホルモンの値
  • コルチゾールレベル

血糖値が高ければ糖尿病の可能性があり、腎機能の値が悪ければ慢性腎臓病の疑いがあります。貧血や炎症の有無を確認するために、赤血球や白血球の数、ヘモグロビン値なども調べます。炎症マーカー(CRPなど)の値を見ると、炎症の有無や程度の把握が可能です。定期的に検査を受けると、病気の早期発見や予防につながります。

尿検査

尿検査では、尿の色や濁り、臭いなどの外観から、尿に含まれるさまざまな成分まで、幅広い情報を得られます。検査結果から、腎臓や膀胱の健康状態、糖尿病やクッシング症候群など、病気の可能性の判断が可能です。

しかし、尿検査だけでは十分な情報が得られない場合もあります。他の検査と組み合わせて総合的に評価することが大切です。

超音波検査

超音波検査は、体に負担をかけず、痛みもなく、短時間で済む検査です。超音波検査の主な目的は以下のとおりです。

  • 内臓器官の形状や大きさの評価
  • 腫瘍や嚢胞の有無の確認
  • 腎臓や肝臓、膀胱などの異常の検出
  • 腹水の有無や量の確認

リアルタイムで臓器の動きを観察できるのが大きなメリットになります。心臓の機能評価にも有効です。麻酔不要で、繰り返し実施できるため、状態を継続的に観察するのに適しています。妊娠診断にも利用できるのが特徴です。

内服薬

適切な内服薬の使用により、さまざまな症状や病気の改善が期待できます。処方される内服薬には、抗生物質やインスリン、利尿剤、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモンなどがあります。薬の種類や投与量は、老犬の状態や症状によって異なるため、獣医師の指示に従うことが大切です。

副作用が出る場合もあるので、薬を飲み始めてからは様子をよく観察しましょう。気になる症状が出たら、すぐに獣医師に相談してください。

食事療法

老犬の健康を維持するためには、獣医師の指導にもとづいた適切な食事療法が重要です。バランスの取れた低ナトリウム食を与えると、腎臓や心臓の負担を軽減するのに役立ちます。タンパク質やリンは、腎臓に負担をかける可能性があるため、獣医師と相談しながら調整してください。

水分含有量の多い食事を取り入れることで、脱水症状を予防できます。缶詰のフードや水分を加えたドライフードがおすすめです。食事は1回の量を少なくして回数を増やすと、老犬の消化をサポートできます。高カロリー食は避け、適正な体重を維持することが重要です。繊維質の多い食事は消化器系の健康維持に役立ちます。

オメガ3脂肪酸やビタミンEやCを含む食事を選ぶことで抗炎症作用や免疫サポートの効果も期待できます。老犬の状態に合わせた食事療法を行うと、健康維持につながります。食事療法だけでなく、定期的な健康チェックも忘れずに行いましょう。

まとめ

飼い主にとって、老犬が水をよく飲むようになることは心配の種ですが、適切な対応をとれば老犬の健康を守れます。老犬が水をよく飲む原因はさまざまで、食事や薬の影響、ストレス、脱水症状などが考えられます。糖尿病や慢性腎臓病などの病気の可能性もあるため注意が必要です。

対処法として、飲水量を測ったり、食事を見直したり、環境を整えたりすることが大切です。異常な症状がある場合は、すぐに獣医師に相談しましょう。獣医師による検査や治療は以下のとおりです。

  • 血液検査
  • 尿検査
  • 超音波検査
  • 内服薬
  • 食事療法

老犬の健康を守るためには、日頃からの観察と適切な対応が欠かせません。記事を参考にして、老犬の健康管理に役立ててください。

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