- 愛犬が年を取り、食事を残すようになった
- 老犬の食欲不振に心配が募る
- 愛犬の健康を維持したい
老犬の食欲不振に悩む飼い主さんは多いです。年齢とともに食事量が減るのは自然なことですが、突然食べなくなったり、長期間食欲が戻らなかったりする場合は心配ですね。この記事では、老犬がご飯を食べない理由と対処法、おすすめの食材、注意点について詳しく解説します。
記事を読めば、愛犬の食欲不振に適切に対応し、健康的な食生活をサポートできます。食事環境の改善や食材の工夫から始めましょう。改善が見られない場合は、獣医師に相談することが大切です。
老犬がご飯を食べない理由

老犬がご飯を食べなくなる理由は、以下が挙げられます。
- 老化で食欲が低下している
- 病気にかかっている
- ストレスを感じている
- 食べ物の好みが変わった
老化で食欲が低下している
老犬の食欲低下は、加齢に伴う自然な現象です。消化機能の低下や歯や歯茎の問題による咀嚼困難、嗅覚や味覚の衰え、代謝の低下、活動量の減少などが主な理由です。胃腸の動きが鈍くなり、食欲を刺激するホルモンの分泌も減少するため、食べる量が減ることも珍しくありません。
老犬の食欲低下は、必ずしも深刻な問題ではありません。若い頃ほど多くのエネルギーを必要としないので、食事量が減ることは自然です。ただし、極端な食欲不振や急激な体重減少が見られる場合は、獣医師に相談してください。適切な栄養摂取はシニア犬の健康維持に欠かせないため、食事管理には注意が必要です。
病気にかかっている
老犬がご飯を食べない原因として、病気にかかっている可能性があります。高齢になると、さまざまな病気のリスクが高まるので、注意が必要です。食欲不振の原因となる病気は、以下のとおりです。
- 歯周病や口内炎
- 胃腸炎や膵炎
- 腎臓病や肝臓病
- がん
- 甲状腺機能低下症
- 関節炎
病気にかかると食欲が落ちるだけでなく、体重が減ったり元気がなくなったりします。早期発見と適切な治療により、多くの場合は症状の改善が見込めます。老犬の食欲不振が続く場合は、獣医師に相談することが大切です。専門家による診断と適切な治療により、愛犬の健康と快適な生活を取り戻しましょう。
ストレスを感じている

老犬は環境の変化や体調不良でストレスを感じると、食欲が落ちることがあります。身体的な不調や痛みがストレスとなり、食欲不振につながることも珍しくありません。老犬のストレスを引き起こす要因は、以下のとおりです。
- 新しい環境や家族構成の変化
- 騒音や大きな音
- 他のペットとの不仲
- 飼い主の不在や生活リズムの変化
- 慣れない場所での食事
普段と異なる状況に置かれると不安を感じやすくなります。ストレスの原因を特定し、できる限りストレスを軽減する環境づくりを心がけましょう。落ち着いた雰囲気で食事ができるよう配慮すれば、食欲が改善する可能性があります。
食べ物の好みが変わった
老犬は年齢とともに食べ物の好みが変わることがあります。味覚や嗅覚、歯の状態、消化機能が変化するからです。以前は好きだった硬いフードから、温かく水分の多い柔らかいものへと好みが移っていきます。老犬の好みの変化に合わせて、フードの種類や形状を見直すことが大切です。
季節や気温の変化によっても好みが変わることも珍しくありません。愛犬の様子をよく観察し、好みに合ったフードを提供することが食欲の維持につながります。
老犬がご飯を食べないときの対処法

老犬がご飯を食べないときの対処法は、以下のとおりです。
- 食器の高さを調整する
- 食事の回数と量を見直す
- 環境を整える
食器の高さを調整する
食器の高さを調整し、シニア犬の食事をサポートしましょう。高齢になると筋力が低下するため、首を下げて食事がしづらくなります。首や背中、足腰の関節に負担がかかり、姿勢のつらさから途中で嫌になり、食べるのをやめてしまう場合もあります。適切な高さに食器を設置する方法は、以下のとおりです。
- 食器台の利用
- 専用スタンドの利用
- 食器の下に本や箱を設置
- 高さ調整可能な食器台の利用
犬の胸の高さになるよう食器を調整すると、首を下げすぎずに食事ができます。老犬用の傾斜のある食器を使用するのも効果的です。犬のサイズによって適切な高さは異なるため、愛犬の体格に合わせて調整しましょう。食器の高さを調整すれば、愛犬の食欲改善につながります。
寝たきりや姿勢維持が難しい子には、 飼い主さんが食べやすい位置に食器を近づけて補助する方法もあります。 支えやすい持ち手付の食器もあるので、使いやすくワンちゃんのに合うものを探してみてください。
食事の回数と量を見直す

老犬の食事管理で最も重要なのは、食事の回数と量を適切に調整することです。加齢とともに消化機能が低下するので、1日の食事回数を増やし、1回の量を減らしましょう。1日3〜4回に分けて少量ずつ与え、食欲が出てきたら消化しやすい量から柔軟に対応します。食事を分割すると胃への負担を軽減できます。
食べる量が減っても栄養バランスを保つことが大切です。食事量の調整はワンちゃんの状態によって異なるので、獣医師と相談しながら進めてください。疲れないように食事時間を短縮することも大切です。食べ残しがあっても無理に食べさせず、食欲が出たときに少量ずつ与えましょう。愛犬の体調に合わせて柔軟に対応してください。
環境を整える
食事環境を整えることも、老犬の食欲促進に効果的です。快適な環境を作ると、愛犬の食事時間が楽しくなります。快適な環境づくりのポイントは、以下のとおりです。
- 静かで落ち着いた場所
- 他のペットから離れた場所
- 滑りにくい床
- 適度な明るさ
- 快適な室温
- 新鮮な水
- 一定の食事時間
- 清潔な食器
環境を整えても食欲が戻らない場合は、他の対処法も試しましょう。
老犬がご飯を食べないときの食事の工夫

老犬がご飯を食べないときの食事の工夫は以下のとおりです。
- フードを温める
- トッピングする
- フードの種類を変える
フードを温める
フードを温めると香りが強くなり、食欲が増進されます。電子レンジで軽く温め人肌程度の温度にしましょう。ドライフードには少量のお湯(30~40℃)や肉汁を加えるのも効果的です。ウェットフードの場合は、容器ごと湯煎するのがおすすめです。
50℃以上の熱いお湯を使うと、タンパク質などの栄養素が熱で変性してしまいます。フードをふやかす際は30~40℃のぬるま湯を使いましょう。電子レンジで温める場合も加熱しすぎに注意してください。
温めたフードは冷めないうちに与えましょう。毎回同じ温度で与えると、食事のリズムを作れます。フードを温めるときは、熱くなりすぎないよう注意してください。老犬の口や舌を傷つける可能性があるので、適温を保つことが重要です。よく混ぜて人肌程度に冷ましてから与えましょう。
水分を含んだフードは雑菌が繁殖しやすくなっています。時間が経つにつれて栄養成分の破壊も進むため、作ってから20分以内に食べ終わるようにしましょう。食べ残しは特に傷みやすいため、食べ残した場合は処分してください。まとめて作ることは避け、食べる分を都度用意しましょう。
トッピングする

愛犬の食欲がないときは、いつものフードにトッピングするのもおすすめです。食事に変化を加えると老犬の興味を引き、食べる意欲を高められます。トッピングの例は、以下のとおりです。
- ウェットフード
- チーズや納豆
- 野菜ジュースやスープ
- ヨーグルトや卵黄
- 缶詰のツナやサーモン
トッピングの量は控えめにし、主食のバランスを崩さないように注意してください。ドライフードを温めた鶏がらスープに浸したり、刻んだ青のりや鰹節をふりかけたりするのも効果的です。食事の香りや風味が増し、老犬の食欲を引き出せます。
トッピングの工夫で食事時間が楽くなりなり、健康維持につながります。ただし、急激な食事内容の変更は消化器系に負担をかける可能性があるので、少しずつ試してください。
フードの種類を変える
老犬の食欲がないときは、フードの種類を変えましょう。老犬向けのフードは、消化しやすく、関節ケアや腎臓の健康をサポートする成分が含まれています。ウェットフードもおすすめです。水分が多く、香りが強いので食欲を刺激します。ドライフードとウェットフードを混ぜれば、栄養バランスが整い、食感の変化も楽しめます。
手作り食を取り入れるのも効果的です。愛犬の好みに合わせて調整できるので、食欲不振の改善が期待できます。ただし、栄養バランスには注意が必要です。以下の点に配慮したフードを選びましょう。
- 低脂肪・低カロリーである
- 消化しやすい成分でできている
- 関節ケア成分入り
- 歯の健康を考慮している
- 腎臓に優しい
食物アレルギーがある場合は、アレルゲンを含まないフードを選んでください。愛犬の健康状態や好みに合わせて、適切なフードを選ぶことが大切です。
ご飯を食べない老犬におすすめの食材

ご飯を食べない老犬におすすめの食材は、以下のとおりです。
- 鶏ささみや胸肉
- 白身魚
- キャベツや人参
老犬の体調に合わせて調理すると、食べやすくなります。ただし、食べない状態が続く場合は、獣医師に相談してください。
食材の摂取を制限するべき病気もあります。持病がある場合は獣医師に相談してから与えるようにしましょう。
鶏ささみや胸肉
鶏ささみや胸肉は、タンパク質が豊富で消化が良いので、老犬の体に負担がかかりにくいです。低脂肪なので、老犬の体重管理にも役立ちます。アミノ酸が豊富なため、筋肉の維持にも効果的です。ビタミンB群も含まれており、エネルギー代謝を促進する効果も期待できます。
ゆでる・蒸す・焼くなどさまざまな方法で調理できるのもメリットです。軟らかく仕上げれば、歯の弱った老犬でも食べやすくなります。アレルギー反応が少ない食材なので、食べ物に敏感な老犬にも安心です。匂いが強くないので、食欲が落ちているワンちゃんも食べやすくなります。
他の食材と組み合わせやすいため、バランスの良い食事を作れます。冷凍保存も可能なので、長期保存や計画的なご飯にもおすすめです。
生のまま与えると食中毒を起こす可能性があります。必ずしっかり火を通してから与えてください。
白身魚

白身魚は、タンパク質が豊富で消化吸収が良いので、老犬の体に優しい栄養源です。低脂肪なので、老犬の体重管理にもおすすめです。含まれている成分は以下の効果が期待できます。
- オメガ3脂肪酸:体内の炎症を抑える効果
- ビタミンB群:代謝促進
- カルシウム:骨の健康維持
- リン:骨や歯の形成
白身魚はアレルギーの可能性が低く、軟らかくて食べやすいのが特徴です。臭みが少ないので、食欲が落ちている老犬も抵抗なく食べられます。代表的な白身魚は、タラやカレイ、ヒラメなどです。白身魚は調理が簡単で、さまざまな料理に使えるため、老犬の食事のバリエーションを増やすのにも適しています。
白身魚を与える際の注意点は以下です。
- 寄生虫のリスクがあるため、必ず加熱する
- 骨をしっかり取り除き、味付けはせずに与える
- 人間用の加工品、干物や煮干しなど塩分が高い加工品は避ける
人間用の加工品には塩分や調味料、保存料などが添加されています。犬には与えないように注意してください。
キャベツや人参
キャベツや人参は、消化しやすく栄養価が高いので、食欲が低下した老犬におすすめです。食物繊維が豊富で便秘予防にも効果的です。ビタミンCやカロテンが豊富で免疫力向上にも役立ちます。低カロリーなので与える量を調整しやすいのが特徴です。
キャベツや人参は柔らかく調理すると食べやすくなり、色や香りで食欲を刺激する効果もあります。水分を多く含む野菜なので、水分が不足しがちな老犬の水分補給にも役立ちます。ただし、過剰に与えすぎないよう注意しましょう。与える際は少量から始め、様子を見ながら調整することが大切です。
老犬がご飯を食べないときの注意点

老犬がご飯を食べないときの注意点は以下のとおりです。
- 無理に食べさせない
- 水分補給を忘れない
- 体重や体調の変化を記録する
無理に食べさせない
老犬に無理に食べさせることは避けるべきです。無理に食べさせようとするとストレスになり、食欲をさらに低下させる恐れがあり、嘔吐や誤嚥のリスクも高まります。食欲が戻るのを待ち、ゆっくりと少量から食べさせましょう。食事時間に制限を設けず、愛犬のペースに合わせることも大切です。
食べたくないときは無理強いせず、次の機会を待ってあげましょう。食事を楽しい時間にするよう心がけることも大切です。愛犬の様子を見ながら、無理のない範囲で食事を促すことが重要です。
水分補給を忘れない

食事量が減っても、十分な水分を摂取できるよう心がけましょう。脱水症状に注意が必要です。水分補給のポイントは以下のとおりです。
- 新鮮な水を常に用意する
- 水の場所をわかりやすくする
- 水飲み器の高さを調整する
- こまめに水をすすめる
- スープやゼリーなどの水分を含む食材を与える
- 水分補給用のサプリメントを検討する
尿量や便の状態をチェックし、適切な水分摂取ができているか確認してください。皮膚の弾力低下や目の輝きの減少などが見られたら要注意です。水分補給に関して不安がある場合は、獣医師に相談しましょう。専門家のアドバイスは、愛犬の健康管理に役立ちます。
» 病気が隠れているかも?老犬が水をよく飲む原因と対処法
体重や体調の変化を記録する
老犬の体重や体調の変化を記録しておくと、異変に早く気付けて、適切な対応をとりやすくなります。以下の項目を日々チェックし、記録しましょう。
- 体重の変化
- 食事量と水分摂取量
- 排せつの回数と状態
- 活動量や元気度
- 毛並みや皮膚の状態
- 呼吸や、せきの様子
- 睡眠時間と質
- 異常行動や痛みのサイン
- 体温
体重の急激な増減や食欲不振、排せつの異常などは、病気のサインです。定期的に記録を見直し、気になる点があれば獣医師に相談しましょう。専門家のアドバイスを受けると、愛犬に適した健康管理ができます。
ご飯を食べない老犬の診療が必要なサイン

ご飯を食べない老犬の診療が必要なサインは、以下のとおりです。
- 長期間ご飯を食べない
- 急激に体重が減っている
長期間ご飯を食べない
長期間ご飯を食べない状態が続くことは、老犬の健康に深刻な影響を与えます。特に水分を摂取しない状態は非常に危険で、生命の危険に直結することもあります。健康状態や体質によって異なりますが、食べない状態が24時間以上続いた場合は獣医師に相談しましょう。
2〜3日以上食事を取らない状態が続き、体重が10%以上減少することは深刻な症状のサインです。体重減少だけでなく、脱水症状のリスクも高まり、栄養不足によって体力や免疫力の低下を招くことも考えられます。特に高齢の犬は体力が低下しているため、食事や水分を摂らない状態に耐える力が弱まっています。
食欲不振が長引く場合は病気が隠れていることもあるため、すぐに獣医師の診察を受けて原因を特定しましょう。点滴や栄養補給が必要になることもあります。愛犬の健康を守るためには、食欲不振の早期発見と早期対応が欠かせません。愛犬の様子に気を配り、異変を感じたら迅速に対応することが大切です。
急激に体重が減っている
愛犬の体重が、1週間以内に5~10%以上減った場合は、獣医師に相談しましょう。急激な体重減少には、以下の症状を伴うことがあります。
- 毛並みの悪化
- 皮膚の弾力低下
- 筋肉量の減少
- 活動量の低下
- 嘔吐や下痢
- 呼吸の異常(浅くなる、速くなる)
- 飲水量の減少
症状が見られる場合は、早急に獣医師の診察を受けましょう。適切な治療を受けると愛犬の健康を守れます。
まとめ

老犬の食欲低下の理由は、老化や病気、ストレスなどです。適切な対処法や工夫を行うと愛犬の食事を改善できます。食器の高さ調整や食事回数の見直し、環境整備などが効果的です。フードを温めたり、トッピングを加えたりするなどの工夫も食欲を引き出すのに役立ちます。
老犬の体に負担をかけないよう、鶏ささみや白身魚など消化しやすい食材を選ぶことが重要です。無理に食べさせることは避け、水分補給と体調管理に注意を払いましょう。長期間食べない場合や急激な体重減少が見られる際は、迷わず獣医師に相談してください。愛犬が健康で穏やかなシニアライフを送れるよう、日々の観察と丁寧なケアを心がけましょう。