- うちの子の年齢は人間で言うと何歳なんだろう?
- 最近よく寝てるけど、年齢のせいなのかな?
このように犬の年齢について疑問に思ったことはありませんか?犬は見た目からは年齢を想像しにくく、「まだまだ若い」と思ってしまいがちです。「まだ元気だし、特別なケアは必要ないよね?」そんなふうに思っている飼い主さんも多いかもしれません。
犬は人間よりも早く成長し寿命も短いため、その時々のケアが大きく変わります。年齢に合わせたケアをしないと、知らないうちに体に負担をかけてしまうかもしれません。
たとえば、1歳の犬は人間で言えば12〜15歳に相当し、成長がとても早いです。犬の年齢を人間に例えることで、その時期に必要な健康管理やケアがわかりやすくなります。また、小型犬と大型犬では老化のスピードも異なります。こうした違いを理解し、適切なケアを行うことが愛犬の健康を守るカギになります。
この記事では、犬の年齢を人間に換算する方法や、年齢別の健康管理のコツをわかりやすく解説します。
愛犬の成長に応じた適切なケアを知り、健康管理に役立ててください。
犬の年齢換算表と計算式

犬の年齢を人の年齢に換算する方法はいくつかあります。今回は環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」を参照に換算方法を紹介します。
犬は大きさで小型犬・中型犬・大型犬と分類されており、人間の年齢に換算すると違いがあります。
- 小型犬(~10kg):トイ・プードル、チワワなど
- 中型犬(10~25kg):ビーグル、ブルドッグなど
- 大型犬(25kg以上):ゴールデン・レトリバー、ドーベルマンなど
※5kg以下を超小型犬、40kg以上を超大型犬とする場合もあります。
「ジャパンケネルクラブ(JKC)」では、犬種ごとの容姿やサイズなどによる正式な基準はありますが、大きさでの分類は定義されていません。大きさでの分類は目安となっています。ペットホテル等の施設やペット保険会社によって分類が異なる場合もあります。
【小型犬・中型犬】の年齢換算表と計算式
小型犬・中型犬を人間の年齢に換算した年齢は以下のように計算します。
最初の2年で24歳になり、3年目からは1年に4歳ずつ年をとります。
24+(年齢-2年)×4
【小型犬・中型犬】の年齢換算表
小型・中型犬の年齢 | 人間換算した年齢 |
1歳 | 15歳 |
2歳 | 24歳 |
3歳 | 28歳 |
4歳 | 32歳 |
5歳 | 36歳 |
6歳 | 40歳 |
7歳 | 44歳 |
8歳 | 48歳 |
9歳 | 52歳 |
10歳 | 56歳 |
11歳 | 60歳 |
12歳 | 64歳 |
13歳 | 68歳 |
14歳 | 72歳 |
15歳 | 76歳 |
16歳 | 80歳 |
17歳 | 84歳 |
18歳 | 88歳 |
19歳 | 92歳 |
20歳 | 96歳 |
【大型犬】の年齢換算表と計算式
大型犬を人間の年齢に換算した年齢は以下のように計算します。
最初の1年で12歳になり、2年目からは1年に7歳ずつ年をとります。
12+(年齢-1年)×7
【大型犬】の年齢換算表
大型犬の年齢 | 人間換算した年齢 |
1歳 | 12歳 |
2歳 | 19歳 |
3歳 | 26歳 |
4歳 | 33歳 |
5歳 | 40歳 |
6歳 | 47歳 |
7歳 | 54歳 |
8歳 | 61歳 |
9歳 | 68歳 |
10歳 | 75歳 |
11歳 | 82歳 |
12歳 | 89歳 |
13歳 | 96歳 |
14歳 | 103歳 |
15歳 | 110歳 |
16歳 | 117歳 |
人間の年齢への換算は品種や飼育環境、個体差によってばらつきがあります。目安にして、愛犬の年齢を把握しましょう。
犬の年齢を人間に例える理由 犬の成長速度と寿命の特徴

犬の寿命は人間に比べてはるかに短く、成長も加齢も非常に早いペースで進みます。
たとえば、生後1年の犬は人間に換算するとおおよそ12〜15歳です。その後も犬の成長は早く、シニア期に入るまでわずか7年程度です。犬種や飼育環境、体格によって差はありますが、人間より速いサイクルで成長・老化が進みます。犬の年齢を人間に例えることで、その時期に必要な健康管理やケアがわかりやすくなります。
たとえば、シニア期に入った愛犬には老化の兆候に合わせた生活環境の工夫が必要です。成長速度とライフステージを理解することで、適切なサポートができます。
犬の平均寿命と体格が寿命に与える影響
年齢換算表から、大型犬の方が小型犬・中型犬よりも早く年をとることがわかります。一般的に体が小さい犬種ほど寿命が長い傾向があり、大型犬になるほど寿命は短くなります。平均寿命は以下の通りです。
- 小型犬 14.2歳
- 中型犬 13.6歳
- 大型犬 12.6歳
体の大きさと寿命の関係は明確になっていませんが、大型犬の寿命が短い理由として以下3つが考えられています。
- 細胞分裂の回数が多く、ガンの発生率が高い
- 大型犬は小型犬よりも成長が早く、大きな体を維持するために細胞分裂の回数が多いです。分裂の回数が多いと細胞が老化するスピードが早くなり、ガンなどの病気が発生する可能性も高くなります。
- 心臓への負荷が大きい
- 大型犬は小型犬や中型犬と比べて、体に対する臓器の比率が小さいです。小さな心臓で大きな体に血液を循環させる必要があり、日常的に臓器に負担がかかりやすくなります。
- 成長ホルモン IGF-1遺伝子の分泌が多い
- 大型犬の体内では成長ホルモンの一種であるIGF-1遺伝子(インスリン様成長因子1)の分泌が多いです。IGF-1遺伝子は成長を促進し、体を大きくする作用があります。その作用で若い頃に体が大きく成長しますが、成犬になると老化を加速させる原因となります。
これらの理由から、大型犬は老化が早く進み寿命が短いとされています。
寿命を決めるのは体の大きさだけではなく、犬種や性別、飼育環境等も影響します。
その子に合った適切な管理やケアを行うことが、健康寿命を延ばすことにつながります。
人間の年齢に当てはめた犬のライフステージごとの特徴
犬の年齢を人間のライフステージに置き換えることで、成長段階に応じた具体的なケア方法が見えてきます。犬のライフステージは大きく分けて「子犬期」「成犬期」「シニア期」に分類され、それぞれで体の状態や必要なケアが異なります。以下は犬のライフステージの目安と特徴です。
子犬期(0~1歳)
- 人間の年齢に換算すると生後1年で小・中型犬は15歳、大型犬は12歳に成長します。
- 体が急速に成長するため、骨や筋肉の発達をサポートする高品質な栄養が必要です。
- 生後3週間~12週間(生後3カ月)は「社会化期」と呼ばれ、様々な刺激に慣れる大切な時期です。
成犬期(小・中型犬では1~7歳頃、大型犬では1歳半~6歳頃)
- 人間で言うと20代から40代にあたる活発な時期です。
- 適度な運動とバランスの取れた食事が健康を維持する鍵です。
- 活動的な犬種は、散歩や遊びを通じて十分なエネルギーを発散させることが大切です。
シニア期(小・中型犬では7歳以上、大型犬では6歳以上)
- 人間では中年から老年に差し掛かります。
- 老化サインを見逃さないことが、健康寿命を延ばすポイントです。
- 体力が低下し病気のリスクが増加します。関節ケアや内臓疾患の予防が重要で、特に食事と運動量の見直しが必要です。
年齢別のライフステージはあくまでも目安で、犬種や生活環境などによって変わります。ワンちゃんの様子に合わせてケアをしてあげてください。
年齢別の健康管理ポイント:愛犬の成長に合わせたケアを学ぼう

愛犬の健康を守るには、年齢に合わせたケアがとても大切です。犬は人間よりも速く成長し、それぞれのステージで必要なケアが異なります。この章では、子犬期・成犬期・シニア期ごとの健康管理のポイントをわかりやすく解説します。
子犬期(0~1歳):成長を支える栄養と社会化がカギ
1:適切な食事で成長を支える
子犬は驚くほど速いスピードで成長します。身体をつくるのに多くの栄養が必要なため、成犬用のフードでは栄養が不足してしまう可能性があります。子犬専用のフードを選び、骨や筋肉の発達をサポートしましょう。
2:ワクチン接種と予防医療を忘れずに
感染症予防のため、適切なタイミングでワクチン接種を行うことが重要です。動物病院で獣医師と相談しながらスケジュールを立てましょう。また、フィラリア予防やノミ・ダニといった寄生虫対策も大切です。ワンちゃんだけでなく人間の健康を守ることにもつながります。生活環境にあわせた対策をとりましょう。
ワクチン接種後は体調を崩しやすくなるので、なるべく安静にしましょう。シャンプーやトリミングはワンちゃんに負担がかかり体力を消耗します。接種後は1週間控えてください。
3:社会化期のしつけを大切にする
生後3~12週間は「社会化期」と呼ばれ、ワンちゃんの性格にも影響する大切な時期です。この時期に体験したことには順応しやすい傾向があるといわれています。暮らしの中で音や環境に慣れ、人や他の動物とのコミュニケーションを学ぶ時期です。さまざまな刺激に慣れて生活環境に適応する能力を身につけましょう。
4:避妊去勢手術を受けるなら生後6カ月頃~性成熟までに
個体差がありますが、犬は生後1年以内には生殖機能が備わる性成熟を迎えます。避妊去勢手術を受ける場合は生後6カ月頃~性成熟を迎える前までが適切とされています。この時期を過ぎると、病気の予防効果等のメリットが低下すると言われています。避妊去勢手術のメリット・デメリットは以下の通りです。
- 望まない妊娠を防げる
- 生殖器関連の病気を予防できる
- 性ホルモンによる問題行動やそれに伴うストレスを防ぐ
- 子孫が残せなくなる
- ホルモンバランスの変化により太りやすくなる
- 麻酔のリスクはゼロではない
メリットとデメリットを理解したうえで手術するか判断しましょう。手術を受ける適切な時期は健康状態や成長度合いによっても変わります。手術を検討している場合は早めに獣医師に相談しましょう。
成犬期(小・中型犬では1~7歳、大型犬では1歳半~6歳頃):健康維持のための生活習慣を整える
1:適度な運動と遊びで体力を保つ
成犬期は体力が最も充実している時期です。犬種によって必要な運動量は異なりますが、毎日の散歩やボール遊びなどで心身の健康を保ちましょう。ただし、運動のしすぎは関節に負担をかけるため、注意が必要です。
2:食事管理で健康をサポート
体重管理はこの時期に特に重要です。肥満は関節や内臓に負担をかけ、多くの病気の原因になります。愛犬の体型を定期的にチェックし、適切なフード量を守りましょう。
3:定期的な健康チェックを行う
成犬期は見た目は元気でも、内部で病気が進行している場合があります。年1回、動物病院で血液検査や健康診断を受けることで早期発見・治療につなげましょう。
「毎年は多いのでは?」と感じるかもしれませんが、人間にたとえると、小型犬・中型犬では4年に1回、大型犬では7年に1回の頻度になります。若い頃から定期的に健康な状態のデータをチェックしておくことで、異常を発見しやすくなります。
シニア期(小・中型犬では7歳以上、大型犬では6歳以上):老化を理解し、快適な生活をサポートする
1:食事を見直し、消化に優しいフードを選ぶ
シニア期になると代謝が落ち、消化器官が弱くなることがあります。運動量も減ってくるため、今までと同じ食事内容では肥満になる可能性が高くなります。ワンちゃんの状態に合わせて食事やオヤツの量を見直したり、フードへの切り替えを検討しましょう。
2:運動量を調整する
足腰が弱ってくる頃です。散歩や軽い運動は筋力低下を防ぎますが、無理をさせないことが大切です。階段の昇り降りや長時間の散歩は避け、負担をかけない範囲で続けましょう。
3:シニア犬特有の病気の兆候に注意する
シニア期は関節疾患や心臓病、内臓疾患などのリスクが高まる時期です。足を引きずる、咳が増える、飲水量が急に増えるなどの変化があれば、早めに動物病院で相談しましょう。
4:環境を整えてストレスを軽減する
シニア期になると犬も足腰が弱くなります。つまずく・転ぶ・滑るといった事故を起こしやすくなります。床には滑らないマットやクッションを敷く、段差にスロープを設置するなどバリアフリー環境を整え対策しましょう。視力や聴力も徐々に衰えてくるので、ワンちゃんに合わせた過ごしやすい環境を作りましょう。
犬の健康寿命を延ばすためにできること:健康診断と日々のケアで健康を守る
定期的な健康診断で病気を早期発見する
健康診断を受けることで愛犬の健康状態を把握し、病気の早期発見・予防につながります。1歳になったら年1回の健康診断が推奨されています。特にシニア犬では、年に1〜2回の健康診断を行うことで、内臓疾患や関節の問題を早期に発見できる可能性が高まります。かかりつけの病院をもっておくと万が一のときも安心です。
かかりつけの病院を持つメリット
- 基本データ(年齢・性格・病歴等)が分かっているので、緊急時に迅速に対応できる。
- 病院やスタッフに慣れているほうが、ワンちゃんの心理的負担が少なくなる。
- 飼い主さんと病院スタッフとのコミュニケーションが取りやすい。
歯のケアを習慣にし歯周病を予防する
犬は虫歯になりにくいですが、歯石がたまりやすく、それが原因で歯周病になりやすいです。歯周病とは、歯の周りに起きる病気で、「歯肉炎」と「歯周炎」の2段階に分けられます。
- 歯肉炎(しにくえん)
- 初期段階で、歯ぐきに炎症が起きる状態です。この段階ではまだ治療やケアで改善できることが多いです。
- 歯周炎(ししゅうえん)
- 歯肉炎が進行すると、歯を支える骨や組織が壊れてしまい、歯周炎へと進行します。歯がぐらぐらになったり抜けたり、膿(うみ)がたまるなど、深刻な状態になります。一度進行してしまうと元の状態には戻せません。
歯周病は口の中だけの問題ではありません。炎症が進むと、口の中の細菌が血管を通じて全身に広がることがあります。これにより、心臓疾患や肝疾患などの病気を引き起こすリスクがあります。
歯周病の予防には、日々のケアがとても大切です。歯ブラシによる歯磨きが最も効果的とされています。難しい場合は、歯磨きガーゼやデンタルガムなど、愛犬に合う方法を取り入れてみましょう。
歯石がたまると自宅ケアだけでは取り除けません。その場合は、動物病院での「歯石除去」が必要になる場合もあります。ただし、歯石除去は全身麻酔が必要なため、体調や年齢によってはリスクが伴うこともあります。気になる場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
日々の観察で愛犬の変化を見逃さない
犬は言葉で不調を訴えられないため、飼い主さんが日常の小さな変化に気づいてあげることが大切です。異常に早く気づくことで重篤化を防ぐことができます。行動や外見の変化は病気の初期症状の可能性もあります。毎日のスキンシップのなかで、愛犬の「いつも」と違う変化を見逃さないよう注意しましょう。
観察すべきポイント
- 食欲:急に食べなくなったり、水を過剰に飲むようになったりする。
- 行動:活動量の減少や、立ち上がるのに苦労する。
- 外見:体重の増減、毛艶の悪化、目や鼻の分泌物など。
まとめ:愛犬の年齢を理解して健康管理に役立てよう

犬は人間よりも早く成長し老化が進みます。愛犬の人間年齢換算を知ることで、成長段階に応じたケアがわかりやすくなります。年齢換算は犬種や飼育環境等の条件によって異なるので、年齢把握の目安として活用してください。
愛犬の健康寿命を延ばすには定期健康診断や日々のケアが重要です。行動や外見の変化は老化によるものだけでなく、病気の初期症状の可能性もあります。気になることがあれば早めに動物病院で診てもらいましょう。愛犬の年齢に合った健康管理を行い、できるだけ長く一緒に過ごせるようにしましょう。